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5つの◯その4:「構造主義」は何を意味している?

「構造主義」とは、構造を分析し、人間の様々なことを明らかにしようとする考え方のことです。構造とは、物事を成立させている仕組みを表します。私たちの行動や習慣には、目に見えない構造が働いているのでは?という考え方が「構造主義」です。この言葉は「実存主義」という考え方を批判する形で生まれました。「実存主義」とは、人間は自分自身の意思で主体的な人生をつくることができるという考え方のことです。

しかし、「構造主義」はこのような考えを正面から否定しました。「構造主義」の提唱者で最も有名なのが、フランスの文化人類学者であるクロード・レヴィ=ストロースという人物です。彼は、未開社会の結婚制度や親族関係には不変の構造があると主張し、未開社会にもちゃんとした構造があることを指摘しました。彼以外の学者たちも、文化や社会制度の背後には目に見えない何らかの構造があることに注目し、その見えない何かにより人間は動かされていると考えました。つまり、人間は何らかの社会構造に支配されており、決して自由に物事を決めているわけではないと主張したのです。「構造主義」の根本には、人間の自由な判断は、実は社会や文化の影響を受けているという考えがあるのです。

私は「構造主義」の考えを経営コンサルティングに活かしています。システムを見ようとする時に、いまは動かせないでいる何らかの構造が組織や事業プロセスの中にあるのではないかと考えます。システムを見るのと並行して、構造を見ようとしています。組織の中にいるとなかなか見えない構造を、提示できるよう努めています。