難病対策に、私ももちろん期待しています。それを前提として、いくつかの疑問が残ります。というわけで、以前書いた記事(『難病対策って景気対策かい?』)の続編を書こうと思います。

 一昨日の読売新聞に掲載されていた記事をみて、以前から沸いていた難病対策に対する疑問が、一昨日からまた浮上してきました。この2日間で、この国の補正予算ないしは景気対策や、今回の記事についていろいろ考えておりました。
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090419-OYT1T00363.htm

 アメリカでも日本と同様、結局、難病対策は景気対策なんですね。オバマ大統領がサインをして助成を解禁したことにより、医療ベンチャー企業の株価が上昇・・・国がどの程度の助成をするのかの数値が見えないのですが、恐らく直接金融に頼るということなのでしょうね。日本より株主の声が大きいアメリカのこと、ちょっとしたことで直接金融の道が途絶えてしまう。日本より研究費が豊富とはいえ、おそらく国の助成だけでは(特に医療ベンチャーは)研究が続けていけない。日本に比べれば直接金融の道は遥かに広いけれど、それでもまだまだ基礎研究の段階だから、膨大なお金がかかります。現在のような金融環境の不安定な中、どこまで直接金融による資金調達が続くのかが心配です。

 あと、記事にもあったように、日本の大学の研究者は超多忙です。アメリカのように、教育と研究が分かれていないし、よほどの大学でないと、研究クラークもいない(アメリカには研究クラークや医療クラークがいるから、研究者やDrの事務に係る時間がとても少ない)。日本の大学の先生は、学部も大学院の授業やゼミも受け持ち(最近では社会人向けのゼミもあったりする)、教務の仕事(○○委員などをあてがわれたり、前期・後期試験の問題作りに試験監督、採点と成績評価、加えて入試の監督など)も多々あります。学科長になっちゃったりしたら、これに冠婚葬祭やら何やらまで入ってきます。私が休学している法人化された某大学院では、研究者自らが学部のHPを作っている状態です。

 加えて、国公立大学が法人化されてから、「競争」という名目で研究費の割り当てが決まるようになりました。今回のような基礎研究に競争という言葉はなじまない(グローバルでの競争:特許や論文数などはあるけれど)。そもそも、競争をどのように評価するのかもこの国では未知数である。単に論文の引用数だけで評価するのだとしたら、今の時点で負けてしまっている。また日本では、基礎研究は文科省、応用研究は厚労省(企業ベンチャーの場合は経産省)、新薬開発は経産省、新薬許可は厚労省といったように省庁が分かれているので、大学も医療ベンチャーも継続的な研究助成を得にくい状況です。

 このような環境ゆえ、基礎研究から応用研究、そして臨床新薬になるまで、10年程かかることもあります。直接金融が進んでいない日本では、途中で医療ベンチャーが資金ショートしてしまいかねません。大学へ研究費を寄付する企業もまだまだ少ないです。教育と研究を分けること(研究に没頭できる環境を作ること)、基礎研究への研究費の配分を増やすこと、医療ベンチャーへの資金調達環境対策等がないと、日本はますますアメリカに負けてしまうことでしょう。もちろん、アメリカでできた薬(今回の場合は薬と呼ぶべきか細胞と呼ぶべきか?です)が日本に輸入され、使用できるようになるのも数年の歳月がかかります。薬ができたとしても、日本の企業がオーファンドラックを自社で製造するのかor海外から輸入するのかも未知数です。

 繰り返しになりますが、私は難病対策にはもちろん期待しています。でも難病対策の話が出るたびに、この国の政策の遅れがついつい心の中に浮かんできます。今回は特に、この国もアメリカも景気動向のネタとして難病対策が使われているので、今後の政策の動向が心配です。これらの疑問が、杞憂に終わることを願っています。

 ちなみに今日の朝日新聞によると、ホーキング博士の体調が悪化し、緊急入院をされたとのこと。この数週間、胸部の感染症をわずらっておられるとのこと。博士が所属しておられるケンブリッジ大学によると、重い症状であるとのこと。心配です。
 http://www.asahi.com/international/update/0421/TKY200904200366.html

 難病対策に期待しつつ、かつ疑問も持ちつつ、とりあえず自分の目の前の仕事を・・・。と、いつもブログで自らを洗脳してます(^^) こうなりゃ、いつかはアメリカに永住するか?!
 

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